人気の「全館空調」は家全体を冷暖房することで、トイレや洗面所、廊下まで快適な温度で暮らすことができます。ところが全館空調にして“失敗した”という声も、ネット上で多く見受けられます。その原因の一つに冷暖房器具が「輻射式」か「対流式」のどちらの方式であるかがあります。冷暖房器具は全館空調の心臓部であるので、この方式の選定が最も重要なのです。
春の陽だまりは“ほんのり”と身体の芯まで温めてくれます。これは太陽の日差しに含まれる遠赤外線によるもので、このような熱を「輻射熱」と言い、輻射熱を利用した空調方式を輻射式と言います。
対流式は温風、冷風のように「空気の流れ」を利用した空調方式のことを言います。一般的には対流式の空調機が多く、その代表はエアコンで室内の空気を暖めたり冷やしたりして温度を調整します。空気は暖めると上昇し、冷やすと下降する特性があります。対流式は空気を暖めたり冷やしたりするため、暖房時は主に2階が暖まり、冷房時は1階が冷やされるといった傾向になります。
一方、輻射式は家全体を均等に暖めます。冬に焚火をしたことはありますか?焚火の熱は輻射熱で、北風が吹く中でも身体を暖めてくれます。このように輻射熱は風(空気)に影響されず、温度の“高い方から低い方へ”移動するため、焚火の熱は温度の低い人体へ向けて移動し身体を暖めるのです。輻射熱は温度差の大きいものに対しより多く熱移動するため、暖房時は温度の低い床に多く熱移動し足元から温めてくれます。
輻射式の冷房は“鍾乳洞”のように室内を冷やします。鍾乳洞やトンネルの中に入り身体全体がひんやりとした経験はありますか?鍾乳洞やトンネルは屋外の熱い空気と繋がっているのになぜひんやりとするのでしょうか?それは鍾乳洞やトンネル内の壁の温度よりも人体の温度が高いため、冷えた鍾乳洞やトンネルの壁に身体から輻射熱が移動し、体温が奪われる状態となり冷やされるからです。「輻射式」は“人体や家”を「対流式」は“空気”を暖め冷やすことが特徴となります。
夫婦でエアコンの温度設定でもめたりしていませんか?
対流式のエアコンは"暑がりさん""寒がりさん"に関係なく、エアコンから吹出す風により室温を調整します。冬にエアコンから吹出す温風は、暑がりさんも寒がりさんも同じように暖めるため、暑がりさんに合わせると寒がりさんは寒く、寒がりさんに合わせると暑がりさんは暑く感じます。夏は冷風により冷やすため、暑がりさんに合わせると寒がりさんは冷え過ぎて"冷え症"になってしまいます。
輻射式は風ではなく遠赤外線の働きにより温度の高い方から低い方へ移動するので、冬は輻射式暖房の熱は寒がりさんに多く熱移動し、暑がりさんを暖め過ぎません。夏は人体の熱が冷えた輻射式冷房に移動する働きにより、暑がりさんの熱を多く奪い、寒がりさんを冷やし過ぎることはありません。輻射式は温度を均等にする働きで、暑がりさんも寒がりさんも同時に快適温度に調整してくれます。
対流式のエアコンは、冬は温風で部屋を暖めるため空気が乾燥します。乾燥した空気はのどや皮膚を乾燥させるので、風邪やインフルエンザ、女性の肌荒れの原因となります。また夏はエアコンの冷風が直接身体に当たると冷え過ぎて体調不良になることがあります。
輻射式であれば冬は温風を吹出さないので、エアコンのように室内の空気を乾燥し過ぎないため、女性の乾燥による肌荒れを防いでくれます。夏は冷風を出さないので、身体に風が当たることがなく、冷え過ぎによる冷え症を防いでくれます。輻射式の冷暖房は1年を通して、女性の美容と家族の健康に役立つ効果があります。
無垢Storyの「温ったカフェ」に使用する輻射式冷暖房システムは、エアコンで余った熱を輻射式 冷暖房パネルに再利用するため“超省エネが特徴”です。理由は輻射式 冷暖房パネルは電気などのエネルギーを全く使用せず、エアコンの余った熱を輻射熱に変換し効率よく利用するからです。
エアコンの室外機で暖め冷やされた循環ガスがエアコンの室内機に送り込まれ冷暖房を行います。(この時エアコンの送風は最弱運転)その後、循環ガスは室外機へと戻るのですが、その途中に輻射式 冷暖房パネルを設け、循環ガスを輻射式 冷暖房パネルに迂回させることで再利用します。この輻射式 冷暖房パネルは遠赤外線を効率よく発生させる機能に優れていますので、冬は足元から部屋全体を暖め、夏は鍾乳洞のように部屋をひんやりと冷やしてくれます。
1台のエアコンと連動した輻射式 冷暖房パネルは“ゼロエネルギー”で全館暖房を実現します。
24時間換気システムの義務化により1台の換気扇で家全体を換気する「ダクト式換気システム」が採用されています。ダクト式換気システムは「第一種換気」と呼ばれる熱交換式換気扇の働きで室内と屋外の空気の温度差を少なく換気し、冷暖房効率を高める省エネ性が特徴です。 無垢Storyではダクトを使用しない熱交換換気システムを採用しております。
理由はダクト内に“カビや雑菌が繁殖する”ことがあるからです。ダクトを使用して室内の空気を換気することは、食事から出る煙りや部屋のホコリなどあらゆるものがダクト内を通過します。ダクトや換気扇にフィルターが装着されていますので、こまめに清掃し生活すれば問題ないように思いますが、ダクトの内部を点検し清掃することは不可能に近いと言えます。もしダクトの内部にカビや雑菌が繁殖していたらどうなるでしょうか?
無垢Storyの熱交換換気システムは、ダクトの無い2台の熱交換式換気扇が連動して換気を交互に行うシステムです。1台の換気扇が室内の空気を屋外へ排気、もう1台の換気扇が屋外の空気を室内へ吸気し、70秒ごとに排気と吸気を交互に行います。換気扇内部に設置された蓄熱体が通過する空気の熱を蓄える働きを利用し熱交換を行います。
冬の場合、排気モードの換気扇の蓄熱体を室内の暖かい空気が通過します。その空気の熱を蓄熱体に蓄えます。70秒後、排気モードから吸気モードに入れ替わり、冷たい外気が蓄熱体を通過し吸気されます。この時に蓄熱した熱が外気に移り熱交換が行われます。
熱交換率は最大91%で省エネ性が高く、ダクト式換気扇に比べ電気代が約4分の1なことも嬉しいメリットです。
換気扇の室内側と屋外側にフィルターが装着されており、換気扇本体を取り外すことができるので簡単にフィルターと本体の清掃が行え、カビや雑菌の心配をすることなく使用できます。花粉対策が施されたフィルターなので花粉症にも有効です。
※全館空調システムの中には床下や壁の中を冷暖房された空気を通すシステムがあります。床下や壁の中はカビや雑菌の繁殖、昆虫や小動物が生息していることもあるので注意が必要です。
無垢Storyの全館暖房システム「温ったカフェ」は、将来もし設備が故障し取替えが必要になっても簡単に取替えできるようになっています。輻射式 冷暖房パネルはパネルだけの交換が可能で、たった1日で交換できます。熱交換換気扇は本体が脱着式ですので数分で交換ができます。 一般的な全館空調システムは空調機が天井裏や床下に設置されているため交換は容易ではありません。またダクト式換気システムは天井裏にダクトを通しているためダクトを入れ替えることは室内の天井を外すなど相当な費用と日数が掛かることが予想されます。 永く住み続ける住宅には、将来までをも見据えた設備の選定が大切だと思います。
輻射式冷暖房システムを採用するにあたり最も必要なことは、輻射熱を逃がさない断熱性を持った建物であることです。輻射熱は断熱材では止めることが難しい熱になります。(詳しくは「最高レベルの断熱性能+遮熱シート」をご覧ください)つまり断熱材だけでは輻射式冷暖房システムの効果を無駄なく得ることはできません。輻射式 冷暖房パネルから放出される輻射熱を逃がさず最大限の効果を得るには、輻射熱の反射性に優れた「サーモバリア」を使用することが必要になります。
サーモバリアはアルミ純度99%以上のアルミ箔を施した特殊シートで、輻射熱を大幅に反射する性能に優れています。サーモバリアで家全体を包み込むように施工することで、輻射式 冷暖房パネルから放出される輻射熱を逃がさず“超省エネ”の全館暖房の家「温ったカフェ」を実現します。