木の話
曲がり方、表情や色、
一本一本違う事が木を扱う楽しみ。
これが全て同じで、単調なものなら、つまらない作業になるだろう。
特に広葉樹は解りやすく、秋、葉を落とすと同時に体の水分を根の方に落とし、冬場に凍ってしまわないよう準備をします。身体の水分が少ない冬の間はあまり成長せず、木を輪切りにした時に見える年輪は線のように見えます。これが冬目。木は春になると根からどんどん水分を吸い上げて、成長速度も速くなり、年輪の幅も広くなります。原木を選ぶ際に、見極めるポイントとして、夏の間にあまり成長をしなかった木、年輪の中心にある目が細かいものを仕入れます。それは寒い地域に生えていた木や、陽当たりの悪い所に生えていた木で、厳しい環境で育った成長の遅い木は固く、板にした時にきれいに木目がでます。そして、水や紫外線にも強く傷みにくい特徴があります。
原木にはお腹と背中があります。山の斜面に面した方がお腹、日光に当たる方が背中です。板にある丸い節(ふし)は枝のあとで、枝の太さや多さが分かります。お腹側に生えた枝は、日光が当たらないので自然に落ちていきます。枝が落ちた後は、キズを治すように成長していくなかで、節がきれいになくなり、「無節」の部分が出てきます。反対に、背中は日によく当たるので枝が沢山のび、節が出やすくなります。製材するときはどちらがお腹か背中かを見極め、お腹を下、背中を上にして割っていき、原木の中心に向かえば向かうほど、節は出てくるので、節のない綺麗な材料を取ることを心がけ、節が出ないようにギリギリまで節を避けて製材していきます。そんな中、目のこまかな節のない、奇跡のような木との出会いも稀にあります。
木は育つ中で、台風などの強風にあたり、肉離れのような穴が開くことがあります。それを「水割れ」と言います。水割れのある原木は製材すると勝手に割れてしまいます。どこまで水割れしているのか、30センチ、60センチ、それとも端から端まで…板にしても少ししか使えなかったり、全く使えない場合もでてきます。水割れ以上の「胴折れ」という場合もあります。冬場、苗木から成長し大木になる前のまだ若く細い木の時に、冬場枝に雪が積もりその重みで木が曲がり、繊維が傷んで空洞が出来てしまうことを言います。年輪の中には、虫が食べた後か、鳥が傷付けたあと等のシミが見える場合もあります。