工場の話
「私たちの山林から原木を切り出し
私たちの手で製材し
私たちの手で完成させる
ヒノキ造りの日本の住まい」
創業当時のパンフレットより抜粋
無垢Storyは下呂で山仕事に励んでいた若き創業者が、昭和の東京五輪開催を目前に一念発起して始めた木毛(もくめん)という緩衝材を製造する、布目商店が始まりです。その後、数年で家を建てる会社へと成長し、飛騨の山で育った木を使った住宅がお客様から大変喜ばれたことで会社はどんどん大きくなりました。
「本屋普請」(ほんやぶしん)と言われる大きな木造住宅を得意とし、1990年代には岐阜県で名の通った工務店となり、無垢材にこだわった住宅を多く手掛けていました。家をつくり始めたころは、製材から鴨井等は自社でつくっていましたが、住宅の洋風化が進み、昭和から平成に代わる頃、家具や建具もつくりはじめ、世の中の仕様はガラッと代わり、それに対応するものをつくらなければいけませんでした。
これからも変わらない
無垢材へのこだわり。
現在無垢Storyでは「CafeStyle」という、カフェのような住まいをコンセプトに、「お気に入りのカフェのようにオシャレで居心地のいい家」を提供しています。それを実現するのに、デザインと無垢材のカラーの統一は必須でした。「CafeStyle」への方向転換は困難を極めましたが、床材、建具、家具すべての色が統一された無垢材は、壁、天井の漆喰の白とのコントラストが美しく生活雑貨が入り混じっても落ち着きある空間をつくり出し、デザインは素材感を大切に、素材そのものの良さを引き出すものとしました。
時代と共に家のスタイルは変化していきましたが、変わらないことは、無垢材へのこだわりです。無垢材を加工する技術は無垢Storyの伝統であり、無垢材を使うということを絶対に終わらせてはいけません。無垢材という日本に豊富にある素材をどうやって活かすか、それを活かすことが出来れば、日本の環境を守ることもできるし、その家に住む人にも良い素材として提供できます。そしてつくることを辞めてしまったら、無垢材を見極める目、無垢材を扱う技術は絶えてしまいます。既製品が当たり前の時代、ものをつくることは尊いことです。その尊さを続け、残していかなければいけません。既製品を使うことは楽な道とは分かっていても、やはり自然の素材の持つ力、それが相まってつくり出す空間というのは特別なものだとこれからも伝え続けます。